相続人がおこなう「被相続人」の準確定申告

所得税は、毎年1月1日から12月31日までに生じた所得について、翌年の2月16日から3月15日までに「(通常の)確定申告」をすることになっています。

納税者である「被相続人」が年の中途で死亡した場合等には、相続人はその相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヵ月を経過した日の前日までに、被相続人に係る確定申告書を提出しなければなりません。これを準確定申告といいます。

__sozai__/0012127.png準確定申告が必要なケース

  • 被相続人が個人事業を営んでいた場合
  • 被相続人が不動産を賃貸していた場合や不動産の譲渡所得がある場合
  • 被相続人がサラリーマンだったときに、給与所得が2,000万円を超えている場合
  • 1ヶ所から給与の支払を受けていた人で、給与所得および退職所得以外の所得の合計額が20万円を超える場合
  • 2ヶ所以上から給与の支払を受けている人で、主たる給与以外の給与の収入金額と給与所得および退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える場合
  • 被相続人が同族会社の役員等でありその同族会社から貸付金の利子や資産の賃貸料などを受け取っていた場合 
  • 被相続人が会社の役員や従業員であり、会社側が死亡時点で年末調整を行わなかった場合 
  • 被相続人が医療費控除の対象となる高額の医療費を支払っていた場合

被相続人が年金(のみ)受給者であっても、年金収入金額および各種所得控除額等を考慮して納税額が算出される場合には確定申告が必要になります。

配当所得の取り扱い

相続の開始日前後に支払われる配当金の取り扱いについては、開始日と配当金交付の基準日(基準日)や
配当金交付の効力が発生する日(確定日)との前後関係により取り扱いが変わります。

  • 相続開始日が確定日の後の場合は、被相続人の配当所得となりますので準確定申告の対象となります。
  • 相続開始日が基準日と確定日の間の場合は、相続人の配当所得となりますので準確定申告の対象とはなりません。

なお、基準日の翌日から確定日までの間における配当金を受けることのできる権利を配当期待権といい、これは相続税の対象となります。相続開始日が基準日の前の場合は、相続人の配当所得となりますので準確定申告の対象とはなりません。

不動産所得の取り扱い

不動産所得は、不動産賃貸料などの計上時期により取り扱いが変わります。不動産所得の収入に計上すべき時期は「原則として契約等により支払日が定められているものはその支払日」とされています。(所得税基本通達36-5)

ただし、一定の要件に該当した場合には発生主義で計上することも認められています。(昭和48年11月6日申告所得税関係個別通達2-78)

  • 発生主義とは、現金の収支とは関係なく、収益または費用をその発生を意味する事実に基づいて計上する方法です。要するに、取引が成立(発生)したときに売上を計上する方法です。
  • 現金主義とは、現金収入があったときに収益を計上し、現金支出があったとき費用をに計上する方法です。つまり、収益は取引の成立時にかかわらず、現金入金がされたときに売上を計上します。
譲渡所得の取り扱い

譲渡所得において、総収入金額の収入にすべき時期は資産の引渡しがあった日によることが原則ですが、納税者の選択により契約の効力発生の日による申告があった場合はこれを認めることとされています(所得税基本通達36-12)

資産の譲渡契約後、引渡し前に相続が開始された場合、収入すべき時期により取り扱いが変わりますので留意が必要です。

  • 「引渡基準による場合」は相続人の譲渡所得となり準確定申告の対象となりません。
  • 「契約基準による場合」は被相続人の譲渡所得となり準確定申告の対象となります。
雑所得の取り扱い

__sozai__/0012127.png未支給年金請求権
国民年金や厚生年金等は死亡した月の分まで支払われます。被相続人に支払われるはずであった年金が残っているときは、相続の開始後に遺族が請求することによって遺族にその分の年金(未支給年金)が支払われることになります。

この未支給年金は被相続人の本来の財産にはなりません(最高裁判決平成7年11月7日)ので、それを受給した相続人の一時所得になります。したがって、準確定申告の対象となりません。

__sozai__/0012127.png還付加算金
準確定申告書の提出により所得税が還付された場合、還付加算金が発生することもあります。還付加算金は還付金に付される一種の利息と解され、相続人が準確定申告書を提出したことにより原始的に取得するものであり相続人の雑所得になるのです。したがって、準確定申告の対象となりません。(所得税基本通達35-1(5)

なお、還付金請求権は相続財産のため、これに基づき還付された金額は相続税の課税対象となります。

必要経費の取り扱い

__sozai__/0012127.png固定資産税
固定資産税は1月1日の賦課期日の所有者に課税されますが、納税通知書が納税者に交付されることにより具体的金額が確定します。

業務用資産にかかる固定資産税を不動産所得の必要経費に算入する場合、納税通知が相続開始日の前後どちらで交付されたかにより取り扱いが変わりますので留意が必要です。

  • 開始日前に納税通知が交付された場合は被相続人の必要経費となりますので、準確定申告で被相続人の必要経費に算入することになります。
  • 開始日後に納税通知が交付された場合は(被相続人の事業を引き継いだ)相続人の必要経費となりますので、確定申告で相続人の必要経費に算入することになります。

__sozai__/0012127.png事業税
事業を廃止した後において、その事業に係る費用または損失でその事業を廃止しなかったとしたならばその年分以降に算入されるべき必要経費がある場合には、その廃止した日の属する年分の必要経費に算入する特例があります。(所得税法第63条)

したがって、その廃止した日の属する年の所得に課税される事業税は、事業税の課税見込額を当該年分の必要経費に算入して準確定申告することができます。(所得税基本通達37-7)

廃止した日の属する年に課税見込額を計上しない場合は、賦課決定のあった日の翌日から2ヵ月以内にその準確定申告について更正の請求をすることができます。(所得税法第152条)

各種所得控除の取り扱い

__sozai__/0012127.png雑損控除・社会保険料控除・小規模企業共済等掛金控除・生命保険料控除・地震保険料控除・寄付金控除
その年の1月1日から死亡日までに受けた災害や支払った金額が基礎となります。

__sozai__/0012127.png障害者控除・寡婦(寡夫)控除・勤労学生控除
納税者が死亡した場合、その死亡した時の現況により障害者、寡婦(寡婦)、勤労学生の適用関係を判断します。

__sozai__/0012127.png配偶者控除・配偶者特別控除・扶養控除
納税者が死亡した場合、その者の配偶者・その他の親族が控除対象配偶者・生計を一にする配偶者・生計を一にする扶養親族などに該当するかどうかはその死亡の時の現況により判定されます。

なお、合計所得金額は、その死亡の時の現況により見積もったその年の1月1日から12月31日までの当該親族等の金額により判定されます。(所得税基本通達85-1)

夫が死亡した時点では、専業主婦であったため配偶者控除の適用をして準確定申告をし、その後、以前勤務していた会社に復職することができたため配偶者控除の適用となる合計所得金額要件から外れた場合、準確定申告について修正申告は必要ありません。

このような偶発的な事由により、合計所得金額が適用となる限度を超えた場合は判定上影響させないものとされています。

__sozai__/0012127.png医療費控除
その年の1月1日から死亡日までに支払った金額が基礎となります。

<例>入院中の父親が9月15日に死亡した場合
8月分の入院費用100万円は9月10日に父親が支払い、9月1日から15日までの入院費用50万円は父親と生計を一にしている長男が9月20日に支払ったケース。

この場合の医療費控除の適用ですが、100万円は父親の準確定申告で医療費控除の適用を受け、50万円は長男の確定申告で医療費控除の適用を受けることになります。

なお、医療費控除は現実に支払った医療費が対象となり、未払いとなっているものは対象となりません。

準確定申告をする場合の様式と届出

準確定申告においては、通常の確定申告書の様式に追加して「死亡した者の平成○○年分の所得税の確定申告書付表」が必要となります。

提出先は被相続人の死亡当時の納税地の税務署です。

個人が被相続人から事業を承継した場合には、届出書を提出しなければならないことがあります。基本的には個人が新規に事業を開始した場合と同様です。青色申告の承認を受ける場合は、所得税の青色申告承認申請書を提出します。

通常、青色申告をしようとする者は申告しようとする年の3月15日(業務を開始した日がその年1月16日以後である場合は2ヶ月以内)までに申請書を提出しなければなりません。

ただし、被相続人が青色申告者で相続人が事業を営んでいない場合には、青色申告承認申請書の提出期限は準確定申告書の提出期限と同一になります。(所得税基本通達144-1)

遺産が未分割の場合の取り扱い

未分割遺産の収益の帰属は「事業から生ずる収益」と「資産から生ずる収益」により異なります。

  • 事業から生ずる収益は、その事業を承継した者に帰属します。
  • 資産から生ずる収益は、法定相続分に応じてその相続人に帰属することになります。(遺言による指定がない場合)

 



                    

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