国籍法の解説

国籍を規定している法律が国籍法です。国籍法は、国家の専権事項であり、それぞれの国が国内法として国籍法を制定する結果、重国籍や無国籍が生じることがあります。わが国の籍法(昭和25年5月4日法律第147号)では、他国と同様にこれらに対応する手続きを規定しています。

(最近改正 平成20年12月12日 法律第818号)

(この法律の目的)
  • 第一条
    日本国民たる要件は、この法律の定めるところによる。

(出生による国籍の取得)
  • 第二条
    子は、次の場合には、日本国民とする。

    一 出生の時に父又は母が日本国民であるとき。  
     出生による国籍の取得については、従来父系血統主義が原則とされていましたが、改正法(昭和60年1月1日施行)により父母両系血統主義となりました。つまり、父又は母いずれかが日本国籍を有していればいいのです。
    父については「法律上の父」でなければならないので、出生の時に父であるためには、父と子が嫡出親子関係でなければなりません。
     子が嫡出子であるかどうかは通則法28条によって定められています。
    <法の適用に関する通則法第28条:嫡出である子の親子関係の成立>
    夫婦の一方の本国法で子の出生の当時におけるものにより子が嫡出となるべきときは、その子は、嫡出である子とする。
    2 夫が子の出生前に死亡したときは、その死亡の当時における夫の本国法を前項の夫の本国法とみなす。 
    例えば、日本人の父と外国人の母の夫婦間の子は、日本法と母の国の法律が準拠法となり、日本法によって嫡出子とならない場合でも、母の国の法律で嫡出子となれば、その子は日本国籍を取得します。
    つまり、日本の民法によると嫡出子でない場合、その子を嫡出子とする出生の届出をするためには、子の出生の当時における外国人である父又は母の国籍証明書及び外国人である父又は母の本国法上の嫡出子の要件に関する証明書を添付します。外国の本国法によってその子が嫡出子となるときは届出が受理されます。
     出生による国籍取得についてですが、以下の要件に該当する場合は補充的に生地主義に基づく国籍が認められ、日本国籍が取得できます。
     ・日本で出生した子であること
     ・父母ともに知れないか(棄児)又は無国籍であること

二 出生前に死亡した父が死亡の時に日本国民であったとき。  

三 日本で生まれた場合において、父母がともに知れないとき、又は国籍を有しないとき。 

(準正による国籍の取得)
  • 第三条
    父又は母が認知した子で二十歳未満のもの(日本国民であった者を除く)は、認知をした父又は母が子の出生の時に日本国民であった場合において、その父又は母が現に日本国民であるとき、又はその死亡の時に日本国民であったときは、法務大臣に届け出ることによって、日本の国籍を取得することができる。
     「準正」とは嫡出でない子が嫡出子となることいます。準正には、子の認知より父母の婚姻が後になる「婚姻準正」と、父母の婚姻より子の認知が後になる「認知準正」があります。
    この第3条の規定が適用になる子とは、日本人父と外国人母の婚姻外の子で、かつ、日本人父が子の出生時に日本国籍を有していた場合に限られます。
    父が外国人で母が日本人である場合の出生子は、分娩の事実により法律上の母子関係が成立し、当然に日本国籍を取得します。

    2 前項の規定による届出をした者は、その届出の時に日本の国籍を取得する。 

(帰化)
  • 第四条
    日本国民でない者(以下「外国人」という)は、帰化によって、日本の国籍を取得することができる。

    2 帰化をするには、法務大臣の許可を得なければならない。

  • 第五条(この条に規定する条件は、いわゆる普通帰化といわれる場合のもので、最も基本的な条件になります)
    法務大臣は、次の条件を備える外国人でなければ、その帰化を許可することができない。

    一 引き続き五年以上日本に住所を有すること。 

    二 二十歳以上で本国法によって行為能力を有すること。

    三 素行が善良であること。 

    四 自己又は生計を一にする配偶者その他の親族の資産又は技能によって生計を営むことができること。 

    五 国籍を有せず、又は日本の国籍の取得によってその国籍を失うべきこと。

    六 日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを企て、若しくは主張し、又はこれを企て、若しくは主張する政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加入したことがないこと。

    2 法務大臣は、外国人がその意思にかかわらずその国籍を失うことができない場合において、日本国民との親族関係又は境遇につき特別の事情があると認めるときは、その者が前項第五号に掲げる条件を備えないときでも、帰化を許可することができる。

  • 第六条
    次の各号の一に該当する外国人で現に日本に住所を有するものについては、法務大臣は、その者が前条第一項第一号に掲げる条件を備えないときでも、帰化を許可することができる。

    一 日本国民であった者の子(養子を除く)で引き続き三年以上日本に住所又は居所を有するもの
    「日本人であった者」には、平和条約の発効によって日本国籍を失った生来の朝鮮人の方や台湾人の方は含まれません。
    婚姻、認知などにより内地籍から朝鮮籍・台湾籍に移り、平和条約の発効によって日本国籍を失った方は含まれます。

    二 日本で生まれた者で引き続き三年以上日本に住所若しくは居所を有し、又はその父若しくは母(養父母を除く)が日本で生まれたもの
    我が国との地縁的な結び付きを考慮して帰化条件が緩和されたものです。ただし、養親子関係は除かれます。

    三 引き続き十年以上日本に居所を有する者 
     日本には住所を有しないが、居所を引き続き10年以上有する場合に適用されます。もちろん、帰化許可申請時には日本に住所を有していなければならず、居所についても適法な在留資格を有していなければなりません。
    「住所」とは個人の生活の本拠で住民票の住所のことです。「居所」とは個人の生活の本拠ではないが、ある程度の期間継続して居住する場所のことです。
  • ・住所が知れない場合には「居所」を住所とみなします(民法23条)。日本に住所を有しない者は、その者が日本人又は外国人のいずれであるかを問わず、日本における居所をその者の住所とみなします。つまりホテル住まいなどをしており、他に住所がない人の場合はそのホテルが住所となるのです。

  • 第七条 
    <前段>日本国民の配偶者たる外国人で引き続き三年以上日本に住所又は居所を有し、かつ、現に日本に住所を有するものについては、法務大臣は、その者が第五条第一項第一号及び第二号の条件を備えないときでも、帰化を許可することができる。
     外国人たる配偶者が引き続き3年以上日本に住所又は居所を有し、現に日本に住所を有していれば、婚姻期間がたとえ1ヶ月でも差し支えありません。

    <後段>日本国民の配偶者たる外国人で婚姻の日から三年を経過し、かつ、引き続き一年以上日本に住所を有するものについても、同様とする。
     婚姻期間が3年を経過していれば、居住期間が3年を待つまでもなく、たとえ1年でも帰化申請が可能です。

  • 第八条
    次の各号の一に該当する外国人については、法務大臣は、その者が第五条第一項第一号、第二号及び第四号の条件を備えないときでも、帰化を許可することができる。

    一 日本国民の子(養子を除く)で日本に住所を有するもの
     日本国民の子というのは、子の父母のいずれかが日本国民であればよいのです。

    二 日本国民の養子で引き続き一年以上日本に住所を有し、かつ、縁組の時本国法により未成年であったもの
     日本国民との養親子関係が現に継続していればよく、養子縁組後に養親が日本国籍を取得した場合も含まれます。ただし、成年養子は除外されます。

    三 日本の国籍を失った者(日本に帰化した後日本の国籍を失った者を除く)で日本に住所を有するもの
     出生により外国の国籍を取得した日本国民で、国外で生まれた者が、国籍留保の意思表示をしなかったために日本国籍を失った場合は、帰化申請が可能です。ただし、その者が20歳未満で、日本に住所を有するときは届出のみによって日本国籍を取得できます。(国籍法17条)

    四 日本で生まれ、かつ、出生の時から国籍を有しない者でその時から引き続き三年以上日本に住所を有するもの
     出生の時から国籍を有しない者、無国籍者について「簡易帰化」を認めるものです。これにより、未成年であっても帰化によって日本国籍の取得が可能になりました。

  • 第九条
    日本に特別の功労のある外国人については、法務大臣は、第五条第一 項の規定にかかわらず、国会の承認を得て、その帰化を許可することができる。

  • 第十条
    法務大臣は、帰化を許可したときは、官報にその旨を告示しなければならない。 

    2 帰化は、前項の告示の日から効力を生ずる。  

(国籍の喪失)
  • 第十一条
    日本国民は、自己の志望によって外国の国籍を取得したときは、日本の国籍を失う。

    2 外国の国籍を有する日本国民は、その外国の法令によりその国の国籍を選択したときは、日本の国籍を失う。 

     
  • 第十二条
    出生により外国の国籍を取得した日本国民で国外で生まれたものは、戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)の定めるところにより日本の国籍を留保する意思を表示しなければ、その出生の時にさかのぼって日本の国籍を失う。
 
  • 第十三条
    外国の国籍を有する日本国民は、法務大臣に届け出ることによって、日本の国籍を離脱することができる。

    2 前項の規定による届出をした者は、その届出の時に日本の国籍を失う。 

(国籍の選択)
  • 第十四条
    外国の国籍を有する日本国民は、外国及び日本の国籍を有することとなった時が二十歳に達する以前であるときは二十二歳に達するまでに、その時が二十歳に達した後であるときはその時から二年以内に、いずれかの国籍を選択しなければならない。

    2 日本の国籍の選択は、外国の国籍を離脱することによるほかは、戸籍法の定めるところにより、日本の国籍を選択し、かつ、外国の国籍を放棄する旨の宣言(以下「選択の宣言」という)をすることによってする。

  • 第十五条
    法務大臣は、外国の国籍を有する日本国民で前条第一項に定める期限内に日本の国籍の選択をしないものに対して、書面により、国籍の選択をすべきことを催告することができる。 

    2 前項に規定する催告は、これを受けるべき者の所在を知ることができないときその他書面によってすることができないやむを得ない事情があるときは、催告すべき事項を官報に掲載してすることができる。この場合における催告は、官報に掲載された日の翌日に到達したものとみなす。

    3 前二項の規定による催告を受けた者は、催告を受けた日から一月以内に日本の国籍の選択をしなければ、その期間が経過した時に日本の国籍を失う。
    ただし、その者が天災その他その責めに帰することができない事由によってその期間内に日本の国籍の選択をすることができない場合において、その選択をすることができるに至った時から二週間以内にこれをしたときは、この限りでない。
 
  • 第十六条
    選択の宣言をした日本国民は、外国の国籍の離脱に努めなければならない。

    2 法務大臣は、選択の宣言をした日本国民で外国の国籍を失っていないものが自己の志望によりその外国の公務員の職(その国の国籍を有しない者であっても就任することができる職を除く)に就任した場合において、その就任が日本の国籍を選択した趣旨に著しく反すると認めるときは、その者に対し日本の国籍の喪失の宣告をすることができる。 

    3 前項の宣告に係る聴聞の期日における審理は、公開により行わなければならない。

    4 第二項の宣告は、官報に告示してしなければならない。

    5 第二項の宣告を受けた者は、前項の告示の日に日本の国籍を失う。 

(国籍の再取得)
  • 第十七条
    第十二条の規定により日本の国籍を失った者で二十歳未満のものは、日本に住所を有するときは、法務大臣に届け出ることによって、日本の国籍を取得することができる。

    2 第十五条第二項の規定による催告を受けて同条第三項の規定により日本の国籍を失った者は、第五条第一項第五号に掲げる条件を備えるときは、日本の国籍を失ったことを知った時から一年以内に法務大臣に届け出ることによって、日本の国籍を取得することができる。
    ただし、天災その他その者の責めに帰することができない事由によってその期間内に届け出ることができないときは、その期間は、これをすることができるに至った時から一月とする。

    3 前二項の規定による届出をした者は、その届出の時に日本の国籍を取得する。

(法定代理人がする届出等)
  • 第十八条 
    第三条第一項若しくは前条第一項の規定による国籍取得の届出、帰化の許可の申請、選択の宣言又は国籍離脱の届出は、国籍の取得、選択又は離脱をしようとする者が十五歳未満であるときは、法定代理人が代わってする。 

(省令への委任) 
  • 第十九条
    この法律に定めるもののほか、国籍の取得及び離脱に関する手続その他この法律の施行に関し必要な事項は、法務省令で定める。

 (罰則) 
  • 第二十条
    第三条第一項の規定による届出をする場合において、虚偽の届出をした者は、一年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。

    2 前項の罪は、刑法(明治四十年法律第四十五号)第二条の例に従う。 

 世界の国籍法について

世界の国籍法は「血統主義」によるものと「生地主義」によるものに分かれています。

  • 血統主義
    血統主義とは父母がその国の国民である場合、子供はたとえ外国で生まれてもその血統により父母の国籍を取得するものです。さらにこの血統主義は以下の2つに分かれます。

     父親の血統だけによる
    父系血統主義の国
    アラブ首長国連邦・アルジェリア・イラク・イラン・インドネシア・エジプト・クウェート・サウジアラビア・スリランカなど

     父親・母親両方の血統による
    父母両系血統主義の国
    日本・韓国・中国・フィリピン・台湾(中華民国)・アイスランド・エチオピア・オーストリア・オランダ・ガーナ・ギリシャ・スウェーデン・スペイン・スロバキア・タイ・デンマーク・トルコ・ナイジェリア・ノルウェー・ハンガリーなど 

     基本的に父母両系血統主義だが「父母の一方が市民権を有すること」「国内に定住していること」などの条件を付けた上で生地主義をとっている国
    フランス・ロシア・イギリス・オーストラリア・オランダ・ドイツなど 
  • 生地主義
    生地主義とは父母の国籍に関係なく、自国の領土・領域内で出生した子はその国の国籍を取得するものです。多民族国家にこの生地主義をとる国が多く見られます。
    ブラジル・ペルー・アメリカ・カナダ・タンザニア・ニュージーランド・パキスタン・バングラデシュ・フィジーなど
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