遺言とエンディングノート

ちらでは自筆証書遺言作成について紹介いたします。この遺言方式は文字通り「すべてを自筆で」作成する遺言になります。

自筆証書遺言を作成するときの重要なイントは3つあります。

本人が全文を自筆で記入します。
  ・タイプ打ち・ワープロ・点字によるもの、コピーしたものは自筆にはなりません。
  ・カーボン紙を用いて複写したものは自筆になるとされています。 
  ・
遺言に用いる言語についての制限はありません。

作成した日付と戸籍上の氏名を本文と同一の書面に記入します。

  ・月日が客観的に特定できるようにしければなりません。(〇年〇月吉日は無効です)
  ・氏名は、通称・雅号・ペンネームでもよいとされています。

捺印をすること。

  ・捺印に使う印は「認印」でも「指印」でも有効です。
   しかし、大切な書面ですので実印を押し、印鑑証明書をつけておく方がいいでしょう。
  ・捺印する箇所は遺言の本文が書かれた書面上にされていれば有効です。

 

__sozai__/0011816.png 自筆証書遺言を作成するときのルール

  • 遺言で特定の人を記載・表示する場合は次のように記載します。
    ・第三者に「遺贈」する場合
    相続人の資格のない受遺者の特定事項としては、受遺者の「氏名」「住所」「生年月日」のみを記載する場合が多いですが、できる限り本籍地も記載するようにします。
    これは受遺者が転居し5年を経過すると住民票除票が廃棄されてしまうので、受遺者を探し出すのが困難になるからです。
    ・「法定相続人」の場合」は「妻」「長男〇〇」等と記載します。
  • 遺言の効力発生以前に、受遺者が遺言者より先に死亡していた場合、財産を他の受遺者に渡すことを決めておく、いわゆる「予備的遺言」 をすることもできます。
  • 付言」に財産を分配した経緯、理由を記載することにより将来の相続トラブルを防ぐようにします。
  • 「共同遺言」(夫婦が1つの遺言にまとめて遺言すること)はできません。
  • 複数ページになるときは、契印・編綴をしたほうが安全です。
    「遺言が数葉にわたる場合、その間に契印、編綴がなくてもそれが一通の遺言であることを確認できる限りその遺言は有効である」という判例もあります。
  • 不動産(土地、建物など)の記載は、不動産登記簿謄本に基づき正確に記載するようにします。
    住居表示と登記簿上の表記は違うことがあるので注意が必要です。特にマンションの場合の記載方法は複雑なので慎重に記載するようにします。
    不動産はできるだけ単独所有にすることで、後々の相続争いを避けることができます。
    共有名義の不動産(各々が持分割合の範囲で所有権を持つ状態)のデメリットは次のようなものがあります。
    ・他の共有者全員の同意を得なければ土地を売却する、新しい建物を建築する、既存の建物を取り壊すなどの行為ができません。
    ・他の共有者の死亡により、その持分が次の相続人に移動して権利関係が複雑になってしまいます。
    <該当不動産が未登記の場合>
    固定資産課税台帳の記載事項や登記事項証明書の記載事項を参考にして、判明している事項を記載して、できる限り特定するようにします。 
  • 預貯金の場合、金融機関の名称・支店・必要に応じて預貯金の種類(口座番号)まで指定するようにします。(金額の記載の有無は個々のケースに異なります)
    遺言を作成した時点では預貯金しかない場合でも「預貯金および有価証券ならびにその他の金融商品」と記載しておけば、将来そういった有価証券を保有することになっても遺言の書き換えをしなくて済むのです。
    自動車、骨董品、家財道具など預貯金や不動産以外の財産についても必要に応じて記載します。
  • お墓や葬儀についての記載(祭祀の主催者の指定)をするようにします。
  • 「特別受益」「寄与分」「遺留分」がある場合には注意が必要です。
  • 相続人に対しては「与える」「贈与する」「遺贈する」という文言でなく、誰々に「相続させる」 と記載します。相続人の資格のない第三者へ「相続させる」と記載した場合は「遺贈」となります。
  • 「遺贈」をする場合、必ず「遺言執行者を指定」しておきます。
  • 書き終えた自筆証書遺言は、封筒に入れて封入口に遺言と同じ印鑑で封印をしておきます。
    ただし、封印は法定の条件ではありません。


__sozai__/0011816.png自筆証書遺言の訂正方法
自筆証書遺言の書き損じの場合にはその部分を訂正することができます。しかし訂正・変更をする場合には、一般の書面の訂正・変更に比べ厳格な決まり事があるのでその方法は多少複雑になります。

一般的な証書の加除・変更は、加除部分及び余白の加除内容の付記部分にいわゆる訂正印を押捺する方法により行われています。

自筆証書遺言の加除・変更の方式は以下のようになります。この加除・変更方式を満たさなかったものは加除・変更がなかったものと扱われますので、書き損じの場合にはすべて書き直すようにします。

  • 自筆証書遺言の遺言者が「自筆で」遺言に削除・加筆する場所を指示します。削除する場合は2重線で、加筆する場合は矢印などで指示します。またその場所に押印をします。
  • 削除・加筆箇所の左又は右の余白に、第〇行中〇字削除、〇字加入などと削除・加筆内容を付記して、その付記したところに署名をします。
  • 加筆が長文となる場合、末尾に「本遺言書本文第〇行に「・・・」の〇字を追加した」などの表現で付記、署名するようにします。  
自筆証書遺言の問題点

自筆証書遺言は手軽で費用がかからないことがメリットである反面、以下の問題点がありますので有効な自筆証書遺言をご自分で作ることは意外と難しいかもしれません・・

  • 記載方式の不備・間違いによりその遺言が無効なることがあります。
  • 一部の相続人によって遺言が勝手に書き換えられたり、隠されたりする可能性があります。
  • 時間の経過とともに遺言自体が紛失してしまう可能性が高く、亡くなった方の遺志が無駄になってしまうことがあります。
  • 家庭裁判所による検認が必要になるため(場合によっては2ヶ月程度の期間がかかります)、相続手続きに想定以上の手間や時間がかかり、割高だと思っていた公正証書遺言よりも費用がかかってしまうこともあります。 
  • 自筆証書遺言としての要件をすべて満たしていても、遺産分割協議書や相続人全員の同意書がなければ金融機関での払い戻しを拒否される可能性があります。
    自筆証書遺言では筆跡や内容について争われた場合、本人の筆跡だという判断が難しく、また家庭裁判所の検認は内容の真正まで証明するものではないので、結局審判(裁判)での解決になります。
    金融機関としてはこうした争いに巻き込まれないようにするために「遺産分割協議書」や「相続人全員の同意書」が必要になるのです。
認とは・・

「検認」とは、相続発生後に自筆の遺言などを発見した場合、家庭裁判所において行われる手続きをいいます。

この「検認」は遺言の有効無効を争う場ではなく、どのような遺言が存在するのかを家庭裁判所で確認するに過ぎません。(その遺言がどんな封筒に入っているのか、遺言に使われた便箋が何枚にわたっているのかなど、文字通り遺言について形式的なことを確認するだけのものなのです)

つまり「検認」には次の目的があります。

  • すべての相続人に遺言の存在と内容を知らせること。
  • 遺言の形式、加除訂正の状態、日付、署名など、検認の日現在における遺言の内容を明確にすること。
  • 遺言の偽造・変造を防止すること。(一種の検証手続・証拠保全手続きになります)
  • 仮に遺言原本を紛失してしまっても、写しを確実に保存しておくこと。

煩雑な検認の問題点!

  • 検認手続きは、相続人全員を特定して通知しなければならないので多くの手間や時間がかかる場合があります。
  • 顔を合わせたくない関係の人や今まで一度も会ったこともない人と連絡を取らなければならない場合もありますので、精神的負担などが大きくなります。
  • 公正証書遺言を除く「遺言」の保管者又はこれを発見した相続人は、民法1004条により遺言者の死亡を知った後、遅滞なく遺言を家庭裁判所に提出してその「検認」を請求しなければなりません。
    封印のある遺言は家庭裁判所で相続人等の立会いの上開封しなければならないことになっています。そうでないと5万円の過料が科せられます。(民法1005条)
  • 本来有効な遺言についても、裁判所外で開封してしまったことにより「無効」となった判例もありますので注意が必要です。
    遺言の隠匿や破棄する行為は、相続欠格の事由になり相続権を失ってしまいます。
  • 「検認」は遺言の有効・無効を判断する手続ではありません。「検認」を受けていてもその遺言が方式の不備などで無効になることもあります。
  • 検認の経ていない(検認済証明書の添付のない)自筆証書遺言に基づく相続登記はできません。
  • 遺言自体の効力を争う相続人は、別途「遺言無効確認の調停や訴訟」を起こす必要があります。

  以上の点からして、

  • 間違いなく本人の意思どおりの内容の遺言であることを作成段階で公証人が担保し、かつこの煩雑な検認手続きを省略できる「公正証書遺言」の方が後々の手続きがスムーズになるのです

__sozai__/0012127.png検認申立て手続きについて

  • 申立人
    遺言の保管者又は遺言を発見した相続人
  • 申立ての時期
    遺言者の死後、遅滞なく請求することになっています。
  • 申立て場所
    遺言者の最後の住所地の家庭裁判所 
  • 申立て費用
    収入印紙800円、予納郵便切手80円x10枚 
    遺言の執行をするためには,遺言に検認済証明書が付いていることが必要ですので、検認済証明書の申請が必要な場合もあります。(各家庭裁判所による)その際には遺言1通につき150円分の収入印紙と申立人の印鑑が必要です。
  • 必要書類
    ・遺言検認申立書
    ・申立人の印鑑
    ・遺言の写し(遺言書が開封されている場合)
    ・遺言者の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
    ・相続人全員の戸籍謄本
    遺言者の子及びその代襲者がある場合ですでにその子が死亡しているときは、その子(及びその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本が必要になります。

__sozai__/0012127.png 検認の流れ

STEP1

被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所への検認申立て

STEP2

家庭裁判所からの検認期日(検認を行う日)の通知

申立てから1ヶ月後くらいにすべての相続人に対して家庭裁判所から検認期日(検認を行う日)の通知がきます。

STEP3

家庭裁判所での検認手続き・審判

  • 相続人が全員揃わなくても検認手続きは行われます。申立人は検認期日に出席しなければなりませんが、申立人以外の相続人は検認期日に出席するかどうかは各人の判断に任されています。検認には代理人による出席も可能です。
  • 検認の審判の席上、家事審判官(裁判官)は提出された遺言を開封し、書かれている内容などを調べます。その後、出席した相続人らに対し、遺言の筆跡や押されている印鑑が本人のものかなどについて意見を求めます。
  • 立ち会った裁判所書記官は、各相続人らが述べた意見など検認の結果を記録し、遺言のコピーを添付した検認調書を作成します。また、申し出により検認済証明書を作り、これを遺言の末尾に付けて提出者に返還します。
  • 検認に立ち会わなかった申立人・相続人・受遺者(その他利害関係者)に対しては、家庭裁判所から「検認済通知書」が送付されます。
筆証書遺言の例・遺言の付言・エンディングノート

 自筆証書遺言作成時に参考になる遺言のサンプルです。作成時に参考にしてみてください。


              遺 言 書

遺言者Aは、以下のとおりに遺言する。

第1条 遺言者は遺言者の有する下記の区分建物を妻B(昭和〇年〇月〇日生)に相続させる。   
                記
(一棟の建物の表示)   
所在      〇県〇市〇町〇〇   
建物の名称  〇〇マンション
(専有部分の建物の表示)   
家屋番号    〇町〇〇   
建物の名称   〇〇   
種類       居宅   
構造       鉄骨鉄筋コンクリート造鋼板葺1階建   
床面積     6階部分〇〇.〇〇平方メートル
(敷地権の表示)   
土地の符号   1   
所在及び地番  〇県〇市〇町〇〇   
地目       宅地   
地積       〇〇.〇〇平方メートル   
敷地権の種類 所有権(借地権の場合もある)   
敷地権の割合 〇〇万分の〇〇

第2条 遺言者は、遺言者の有する下記財産を長男C(昭和〇年〇月〇日生)に相続させる。
                記
 (1)〇株式会社の株式〇株
 (2)〇銀行〇支店の遺言者名義の有する定期預金(口座番号〇〇)

第3条 遺言者は、遺言者の有する下記財産を孫D(平成〇年〇月〇日生)に遺贈する。
                記
 (1)〇株式会社の株式〇株
 (2)〇銀行〇支店の遺言者名義の有する定期預金(口座番号〇〇)

第4条 遺言者は、以上に定める財産のほか、一切の財産を 妻 B に相続させる。

第5条 遺言者は、この遺言の執行者として下記の者を指定する。遺言執行者は、遺言者名義の不動産の登記手続きおよび不動産 の換価処分、預貯金・有価証券・その他の債権・財産等の換価処分等のすべてについて、遺言執行者の名において名義変更、解約などの手続きをし、また貸し金庫の開扉し、その内容物の収受等を行い、本遺言の執行に必要な一切の権限を有するものとする。

                記

  住所    〇県〇市〇町〇〇   
  職業    行政書士   
  氏名    〇〇   
  生年月日 昭和〇年〇月〇日生

付言(場合によって記載する) 

  平成〇年〇月〇日
                    〇県〇市〇町〇〇 
                     遺言者     A       印

 


遺言の付言
付言(事項)とは、 民法で定められていないことを遺言に記載することです。民法に定められた事項についてされた遺言は法的な効力がありますがこの付言(事項)については法的な効力がありません。
記載例としては、

  • 遺言で特定の財産を特定の者に相続させる(遺贈する)ことやどうして法定相続分とおりに相続分を指定しないのかについての理由。
  • 遺言者の亡き後の葬式や法要の方法や献体や散骨を希望する旨の内容。
  • 遺された家族や親族への感謝の気持ち。
  • 家業の将来についてのこと。

などを自由に記載します。

この付言事項は、共同相続人らを拘束する効力はありませんが、遺言者の最後の意思を表したものですから尊重されるべき大変重いものになります。仮に共同相続人間で対立があってもそれが親の最後の意思であるならば、子供たちなどの相続人が納得し後々相続争いを回避できる可能性が高まるのです。 

 


 エンディングノート 〜 ending note 

平均寿命が延び続けている現在では「そのとき」が来るのはまだまだと思っている人も多いことでしょう。しかし、他のライフイベントと違い「最期」というものはすべての人に必ずやってきます。

最近では「就活」「婚活」に続いて「終活」という言葉があります。人生の終末については口に出すのが縁起でもないとはばかられる風潮があるのも事実ですが、最期を迎える人・送る人、どちらにも後悔が残らないよう最期を迎える人は自分の意思をはっきりと文章にして残しておくことが大切です。

「エンディングノート」と呼ばれるものは色々な種類のものがあります。最期を迎える人と送る人が面と向かって聞くのは難しくても、この「エンディングノート」をコミュニケーションツールとして上手に活用できればよいのではないでしょうか。

「エンディングノート」も上記「遺言の付言」と同様、法的効力はありません。それでも「終活:人生の終わりに関する活動」において「介護、医療」「葬儀、墓、葬儀の後諸手続き」などの場面で本人の要望を叶える、あるいは関係者に判断してもらう材料を提供する、遺言に準ずる効果を発揮するツールとして注目されています。

基本的に「エンディングノート」は最悪の事態を想定して記載するものです。人は突然、交通事故に遭うかもしれないし、将来的に認知症になったことに本人が気付かないということもありえます。

そうなったときに「エンディングノート」があればあなたという人を知る手がかりになり、医療・介護・警察関係者などにとって非常に役立つのです。
「エンディングノート」には基本的に以下のことを書くようにします。

  • プロフィール
    氏名、住所、電話番号、生年月日、身長、体重、血液型、出生地、本籍地、趣味、嗜好、経歴(学歴や職歴など)
  • 財産(資産の管理)
    財産に関する情報は相続の際に必要です。また遺言をする際にも重要になります。これにより計画的に生前贈与などを行うことも検討できます。
    死亡後すぐに必要になる現金は、事前に家族の預金口座に移しておくことも検討します。
    預貯金、貸金庫、株式・証券、不動産、生命保険、個人年金保険、祭祀財産(墓・仏壇など)などをもれなく記載します。
  • 遺言の有無
    遺産はその多少にかかわらず相続人間などで対立の火種になりかねません。こうした場合に遺言の有無がカギとなります。遺言の保管場所と種類、遺言の種類などを記載します。
  • 子の有無と連絡先
    相続の際に重要になりますので、特に前婚での子や婚外子について記載します。
  • 介護・医療に関すること
    ・医師からあなたへの重病の告知
    ・介護が必要になったとき、誰に世話をしてもらいたいか
    ・認知症になったときの成年後見人候補者
    ・医療・介護費用はどのように賄うのか
    ・セカンドオピニオンの希望、延命治療を希望する・しない
    ・苦痛の緩和ケアは望むが延命のためだけの措置は希望しないで家族の判断に任せるのか
    ・臓器提供、献体について
    などを記載します。
  •  告別式、葬儀の取り計らい内容
    ・宗教、宗派、戒名、法名
    ・お葬式の形態など 
自筆証書遺言・公正証書遺言以外の遺言の方式
  • 秘密証言遺言
    秘密証書遺言とは、遺言の内容を秘密にしたいとき、遺言そのものはご自分で作成し、封印後にその封印したものを公証人役場で公証してもらう方法です。
    この場合は自筆、代筆、ワープロでの作成が可能ですが署名だけは自筆でなければなりません。また秘密証言遺言でも証人2名が必要です。
    遺言の内容については公証人が関与しないので、方式不備により遺言の内容が無効となる可能性があります。
    ただし、秘密証書遺言としては無効でも自筆証書遺言としての要件を満たしていれば自筆証書遺言として認められます。
    この秘密証書遺言は、自筆証書遺言と公正証書遺言のデメリットの部分を併せ持った遺言方式なので一般的ではありません。
  • 一般危急時遺言(一般臨終遺言)
    遺言の方式には「危急時遺言」や「隔絶地遺言」など、普通方式の遺言作成が困難な時に限り認められる例外的なものがあります。一般危急時遺言作成の要件は以下の通りです。
     ・遺言者が疾病その他の理由のよって死亡の危急に迫っていること
     ・証人3人以上の立会いがあること
     ・遺言者が遺言の趣旨を証人の1人に口授すること
     ・口授を受けた証人がこれを筆記して遺言者及び他の証人に読み聞かせること
     ・各証人が筆記の正確なことを承認した後、署名捺印すること
    「一般危急時遺言」とは死亡の危急に迫った者が行った口頭遺言の内容を証人が筆記したものです。ですから、遺言者の真意を誤聞曲解することなく正確に筆記されているかどうか明確にするため、遺言者の生死にかかわりなく「遺言の日から20日以内」に家庭裁判所へ遺言の確認審判の申立が必要になります。
  • 遺言の撤回・変更方法
    遺言は、本人がいつでも自由に撤回したり、変更したりすることができます。(代理人にはできません)
    自筆証書遺言や秘密証書遺言では手元にある遺言を破棄すれば遺言を撤回したことになりますが、公正証書遺言の場合は遺言の原本は公証人役場に保管されているので、手元の遺言の謄本(または正本)を破棄しただけでは撤回したことになりません。
    遺言の撤回・変更は、前の遺言の方式にとらわれずに自由にできますので、公正証書遺言を自筆証書遺言によって撤回したり、変更したりすることもできます。 
遺言にできる有効な事項

遺言を作成し、その内容で何を遺言するかは遺言する人の自由です。しかし、遺言にできる有効な事項は民法によって以下の通りに定められています。

遺産相続に関する事項
__sozai__/0012127.png認知
認知は遺言によってもすることができます。遺言は遺言者の死亡のときから効力を生じますので、夫が遺言で認知した子は夫の死亡と同時に夫の非嫡出子ということになります。

夫が自分の子でないのに認知した場合には、利害関係のある残された妻や子はその認知の無効を主張することになります。


__sozai__/0012127.png未成年後見人、未成年後見監督人の指定

民法では未成年者保護のため、親権者の規定を定めています。親権者とは、通常、未成年者の父母のことであり未成年者の監護・教育財産の管理・代表等を行います。

親権者が存在しない、あるいは親権者が管理権を有しない場合には、未成年者保護のため未成年後見人が選任され、未成年者の監護教育・財産の管理・代表等を行うことになります。未成年後見人は1人でなければなりません。未成年後見人の指定は遺言によってのみできます。

未成年者に対して最後に親権を行う(管理権を有する)次の者は、遺言で未成年後見人を指定することができます。

  • 親権者たる父母の一方の死亡、親権ないし管理権の喪失、辞任等によって、父母のどちらか一方の単独親権になった場合
  • 未成年にはじめから親権者が1人しかいない場合の単独親権者

未成年後見人を指定できる者は未成年後見監督人を指定することができます。未成年後見監督人は複数の選任が可能です。その職務は次の通りです。

  • 未成年後見人の監督
  • 未成年後見人が欠けたとき家庭裁判所に選任を請求すること
  • 急迫の事情があるとき、必要な処分を行うこと
  • 後見人と被後見人の間で利益が相反する行為について被後見人を代表すること

遺産相続に関する事項

__sozai__/0012127.png特別受益者の持戻免除
共同相続人の中に遺言者(被相続人)から遺贈を受けていたり、生前に贈与を受けていたりした者がいた場合に、相続に際してこの相続人が他の相続人と同じ相続分を受け取ることは不公平になります。

そこで、共同相続人間の公平を図るため、特別な受益(贈与)を相続分の前渡しとみて、計算上その贈与財産を遺言者が死亡したときの財産に持戻し(加算して)相続分を算定します。

贈与又は遺贈を受けた相続人は、その基準で算出された相続財産をもとに計算された法定相続額からその贈与・遺贈を受けた金額を差し引かれることになります。しかし、遺言により他の相続人の遺留分を侵害しない範囲で特別受益の持戻しを免除することができます。

__sozai__/0012127.png推定相続人の廃除とその取消し
文字通り、推定相続人を廃除して、相続をできなくようにする事を遺言で意思表示することができます。

廃除が認められる要件とは「被相続人に対しての虐待、若しくは重大な侮辱を加えたとき、推定相続人に著しい非行があったとき」とされています。

また、遺言で「推定相続人の廃除」を取り消すこともできます。それが遺言者の意思であると認められた場合には、家庭裁判所で審判されることになります。

__sozai__/0012127.png相続分の指定、指定の委託
遺言者は遺留分を侵害しない範囲で、法定相続分でなく相続人それぞれについての相続分を決定、または第三者に決定させることができます。

ただし遺留分を侵害するような内容の遺言を書いたとしても、その遺言が無効になるということはありません。遺留分減殺請求権は、遺留分を侵害された法定相続人が持っている権利であって必ず行使しなければならないものではないからです。

__sozai__/0012127.png遺産分割方法の指定、指定の委託
遺言による分割方法(現物分割・換価分割・代償分割)は、相続人による遺産分割協議に優先します

しかし、相続人全員の合意があれば、必ずしも遺言による分割方法の指定相続分の指定に従う必要はありません。


__sozai__/0012127.png遺産分割の禁止
相続人が未成年の場合など、相続開始後すぐに遺産分割をしないほうがよいとの遺言者の意思がある場合、相続開始の時から5年を超えない期間で遺産の分割を禁ずることができます。

なお、家庭裁判所は次のようなときに遺産の分割を禁止することがあります。

  • 相続人が確定できない場合
  • 遺産の範囲がどの程度かわからない場合
  • 相続人全員が幼かったときや重病である場合

また、共同相続人全員の合意があれば、5年以内の期間を定めて遺産分割を禁止することもできます。


__sozai__/0012127.png共同相続人間の担保責任(減免・加重)の指定
相続人が遺産分割の結果、取得したものに瑕疵がある場合には他の共同相続人は担保責任を負います。特に、共同相続人の1人が遺産分割の結果、第三者に対する債権を取得した場合において、第三者に資力がなかったときは、各共同相続人は特約が無くとも債務者の資力を担保することになっています。

例えば、相続人が「妻」「長男甲」「長女乙」であり、これら共同相続人は、相続財産を法定相続分の割合(妻が1/2、長男と長女が各1/4の割合)で分け合い、妻が取得した相続財産の中に、ある会社に対する貸金債権100万円があったがその会社が倒産したような場合です。

この場合、100万円の損失分は各相続人が法定相続分の割合で負担しますので、妻に生じた100万円の損失分は、妻が50万円、長男と長女が25万円負担することになります。その結果、妻は長男と長女に対し各25万円ずつ支払を請求できるのです。

もし、担保責任を負担する共同相続人の中に無資力者がおり、その無資力者が償還できない場合には、その部分について、担保責任を追及する相続人と無資力者を除く他の共同相続人とがそれぞれの相続分に応じて負担することになります。

つまり、これは相続人が相続した財産の価値が相続金額とは違った場合等の瑕疵があった場合、別の相続人に対しその損害を請求できる権利になります。

例えば、上記の例で、長女は25万円を支払う能力がないとしたとき、その長女の負担分25万円は、妻が1/2、長男が1/4の割合(全体が1になるように分数を整理しますと、妻が2/3、長男が1/3の割合)で負担することになるのです。

遺産分割が遺言に従って行われても、担保責任を巡って争いになることがあるのでこの担保責任を免除するケースも多いと思われます。

__sozai__/0012127.png遺贈、寄付行為
遺贈とは、遺言により人(自然人:外国人や胎児のみならす法人でもよい)に遺言者の財産を無償または負担を付して(対価性があってはなりません)で譲る単独行為のことです。

遺言の中では、相続人には「相続させる」・相続人でないものには「遺贈する」と使い分けることが重要です。その場合の相続税の計算の際には次のようになります。

  • 「相続させる」遺言の場合の不動産登録免許税は0.4%です。
  • 「遺贈する」遺言の場合の不動産登録免許税は2%と不利になります。
  • 相続人に対する「遺贈する」遺言の場合は0.4%になります。

遺言により自分の財産の全部または一部を寄付をすることもできます。この場合は「遺留分減殺請求」がなされないような財産の配分が重要になります。


__sozai__/0012127.png遺贈の遺留分減殺方法の指定

遺留分権者から遺留分減殺請求があったときに、どの不動産を対象にするのか、また支払方法は持分移転登記なのかまたは価額弁済の方法に限定するなどの指定をすることができます。 

__sozai__/0012127.png祭祀財産継承者の指定
祭具・お墓・系譜などの祭祀財産については、慣習に従って祭祀継承者が継承しますが、遺言でその主宰者を指定する事ができます。

 遺言執行に関する事項

__sozai__/0012127.png遺言執行者の指定・指定の委託
遺言執行者の指定はされなくても特に問題ありませんが、遺産に不動産が含まれる場合は遺言執行者を指定したほうが手続きがスムーズになります。

遺言の中に執行行為が必要なものが含まれていた場合、家庭裁判所に遺言執行者選任の申立をすることもできます。

__sozai__/0012127.png遺言執行者の復任権、報酬
遺言執行者は通常やむをえない事情がなければ、第三者にその任務を行わせることができません。しかし、遺言の中でその旨記載されていれば、それぞれの専門家に受任させることができます。

また、遺言執行者を数人指定し、順位をつけて不測の事態に備える事もできますし、共同で行わせることもできます。遺言執行者の報酬は家庭裁判所に報酬の申立をしなくてはなりませんが、遺言にその報酬が明記されていればその必要はありません。

 その他の事項

__sozai__/0012127.png一般財団法人設立のための財産拠出行為
遺言によって一般財団法人の設立ができます。その場合には、遺言で一般財団法人を設立する意思を表示し、定款に記載すべき内容を遺言で定め、遺言執行者が遺言の内容の実現(遺言の執行)を行います。

遺言執行者は、遺言に基づいて遅滞なく定款を作成して公証人の認証を受け、財団法人成立までに必要な事務を行い、代表理事が財団法人の設立登記の申請を次の手順で行います。

  1. 設立者が遺言で一般財団法人を設立する意思を表示し、定款に記載すべき内容を遺言で定める。
  2. 遺言執行者が遺言の内容の実現(遺言の執行)を行い、遺言に基いて遅滞なく定款を作成して公証人の認証を受ける。 
  3. 遺言執行者が財産(価額300万円以上)の拠出の履行を行う。 
  4. 定款で設立時評議員,設立時理事,設立時監事(設立時会計監査人を置く場合は、この者も含みます。)を定めなかったときは,定款の定めに従い、これらの者の選任を行う。 
  5. 設立時理事及び設立時監事が設立手続の調査を行う。 
  6. 設立時理事が法人を代表すべき者(設立時代表理事)を選定し、設立時代表理事が法定の期限内に主たる事務所の所在地を管轄する法務局に設立の登記の申請を行う。 


__sozai__/0012127.png信託の設定

信託とは、金銭その他の財産を誰かに預けて運用させ、その運用による利益を相続人たちに渡すという方法です。どのような財産を誰にあずけて、誰にその利益をどのような割合で配分するのかを決めておく必要があります。

__sozai__/0012127.png生命保険金受取人の変更
遺言による保険金受取人の変更を認めた保険法の規定は、平成22年4月1日の同法施行日以後に締結された保険契約(新規契約)について適用されるものであり、既存契約には適用されません。

ただし、生命保険契約の特則で保険法施行前の保険契約についても、遺言による保険金受取人の変更を認める保険会社もあります。

  • 遺言による保険金の受取人の変更するためには、遺言の効力が発生した後、保険契約者の相続人がその旨を保険会社に通知をしなければなりません。また被保険者の同意も必要になります。

 



                    

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安心、安全な公正証書遺言

の遺言方式は、公証役場において公正証書として遺言を作成する方法です。遺言の方式の中で一番安全なのがこの「公正証書遺言」です。自筆証書遺言は手軽に作成できますが、その方式不備により遺言が「無効」になってしまう可能性や遺言自体の紛失の危険性がありますので注意が必要です。

この「公正証書遺言」では「原本」・「正本」・「謄本」が作成され、公証役場がその原本を保管しますので、紛失や偽造、隠蔽の恐れが無く、手間のかかる家庭裁判所による検認も不要ですので「自筆証書遺言」より優れています。
公正証書遺言作成時には証人2名の立会いが必要です。(職務上の守秘義務が課せられている行政書士が証人になることもできます)弊事務所では個人情報保護法に基づく「個人情報保護士」資格を取得しておりますのでより一層安心してご利用いただけます。なお、協議離婚・養子縁組・養子離縁の証人(各2名)につきましてもご相談を承ります。

弊事務所の
公正証書遺言作成支援サービスはこちらへどうぞ!

尊厳死宣言公正証書について

厳死とは、普通、ガンなどの回復の見込みがない重篤な疾病のため末期状態にある患者につき、生命維持装置等による延命のためだけの治療を中止し、人間としての尊厳のもと、生に終止符を打つことをいいます。 

患者本人としても少しでも長生きしたいというのは本能ですが、もし自分が回復の見込みがない末期状態に陥ったときには、機械に生かされているような情けない状況を回避したい、また過剰な末期治療による家族への精神的経済的な負担や、公的医療保険などに与える社会的な損失を避けたいという考えを持つ人が増えてきたようです。

尊厳死宣言公正証書とは,本人が自らの考えで尊厳死を望み延命措置を差し控え、中止してもらいたいという考えであることを公証人の面前で宣言し、公証人がこの事実を公正証書として記録するもので、いわゆる事実実験公正証書の一種です。

治療にあたる医師の立場としては、回復の可能性がゼロかどうか分からない患者の治療をやめてしまうのは医師としての倫理に反すること、どのような形であれ現に生命を保っている患者に対し、死に直結する措置をとる行為は殺人罪に問われるおそれがあることなどから、尊厳死宣言公正証書を作成したからといって必ず尊厳死が実現できるとは限りません。 

尊厳死の普及を目的とする日本尊厳死協会の機関誌「リビング・ウィル」のアンケート結果によれば「尊厳死の宣言書」を示した場合における医師の尊厳死許容率は平成15年には95.9パーセント、平成16年では95.8パーセントに達するということです。尊厳死宣言公正証書のサンプルは次の通りです。 

  

__sozai__/0011816.png 尊厳死の宣言等に関する公正証書
本公証人は、嘱託人●●●●の嘱託により、平成●●年●月●日、標題の件に関し、以下のとおり陳述を 録取し、私権事実に関する公正証書を作成する。

第1条 私●●●●は、私の病気が不治であり、かつ、死が迫っている場合に備えて、私の家族及び私の治療に携わる方々に自ら死の在り方について、次の通り希望を申し述べます。 

 
1. 私の病気が、担当医師を含む2名以上の医師の一般に認められている医学的知見によって現代の医学では不治の状態にあり、死期が迫っており、延命措置を行うと否とにかかわらず死に至り、そのような延命措置の実行は、単に死の過程を人工的に引き延ばすだけであると診断された場合には、苦痛を伴う手術や延命のみを目的とする措置は行わないで、苦痛を和らげる措置を執って、人間としての尊厳を保った安らかな死を迎えることができるように御配慮ください。

第2条  私がこのような尊厳死を望む理由は、自己の人生の最後の在り方は自己の意思によって決めたいからであります。私がこのような気持ちになった動機は、病気や交通事故で不自由な身体となり、悲惨な生活を送っている人の話がひっきりなしに新聞やテレビで報道されていること、病気などで植物人間になれば、家族が介護することは身体的にも 又経済的にもとても無理であることなどの事情によるものです。

第3条  私の家族である(1)長男●●●●(昭和●年●月●日生)(2)長女●●●●(昭和●年●月●日生)は私がこのように尊厳死を真剣に願っていることを理解し、私の末期医療に際して、その治療に当たって下さる医師の方々にその意思に沿った措置をとり延命措置を施さないよう申立てることを是非お願いします。

第4条  担当医師におかれましては、私の意のあるところをお汲み取りいただき、本公正証書に基づき、最大限前述した私の意思が尊重されることを期待いたします。

第5条  私のこの宣言による要望を忠実に果たして下さる方々に深く感謝申し上げます。そして、その方々が私の要望に従ってされた行為の一切の責任は私自身にあります。警察、検察の関係者におかれましては、私の家族や知人、医師が私の意思に沿った行動を執ったことにより、これらの者を犯罪捜査や訴追の対象とすることのないよう特にお願いします。

第6条 このような希望は、私自身の精神が健全な状態にあるときに私自身が破棄するか、又は撤回する書面を作成しない限り有効であることを明らかにしておきます。

遺贈・死因贈与・予備的遺言・遺言執行者について

 

法律(民法)では法定相続人以外の人には被相続人(亡くなった人)の遺産を相続する権利はない」ことになっています。

このため、被相続人の兄弟姉妹(相続人が配偶者と子供の場合)や 内縁関係の妻や孫、あるいは被相続人の介護など特別な世話をしていた第三者の方については、いくら生前に被相続人と親しくしていたとしても遺産を相続する権利はないのです・・

  • このような場合には、被相続人が生前に公正証書遺言などの法的に有効な遺言を作成しておけば、法定相続人以外の人に財産を分与する事が可能になります。

「遺贈」とは、遺言による財産の無償贈与という意味です。

  • 遺言を遺した人、つまり遺言で財産を与える人を「遺贈者」といいます。
  • その財産を与えられる人を「受遺者」といいます。

遺贈者は「相続人」の他「まったくの第三者」「法人」などを受遺者に指定することができます。遺贈には以下の通り「特定遺贈」と「包括遺贈」があります。

 特定遺贈
特定遺贈とは、不動産や預貯金などの具体的財産を遺贈する場合をいいます。受遺者が特定遺贈を受けた財産が必要なければ、裁判所外で特定遺贈を放棄することも可能です。

  • 相続人以外に不動産が遺贈された場合には受遺者に対して不動産取得税がかかります。相続人である受遺者に不動産取得税はかかりません。
  • 相続人への「特定遺贈」は、その受遺者である相続人資格者について相続放棄の申述が受理されてもその特定遺贈は有効になります。つまり事業承継が必要な場合には、相続放棄をすれば「遺産分割協議」から外れるので事業用財産などについての特定遺贈を受けることでより迅速・円滑な事業承継が可能になります。
  • 全体として相続財産が債務超過の場合には、相続債務者への弁済を完了してからでないと遺贈を実行できないことに留意します。

 包括遺贈
包括遺贈とは、遺産の全部または一部の一定割合を示して行う遺贈のことをいいます。包括遺贈を放棄する場合は相続放棄と同様に、家庭裁判所に対して相続放棄申述書を提出しなければなりません。

  • 相続人が遺贈を放棄しても相続権を失うわけではありません。遺贈を受けた相続人が相続財産と係わりを絶つためには相続放棄を行わなければなりません。

  「包括遺贈」と「相続」の比較!
 「包括遺贈」と「相続」の共通点

  • 包括受遺者は相続人と同一の権利義務を有し、包括遺贈がなされると相続人との遺産共有が生じて受遺者は債務も継承することになります。
  • 包括受遺者は遺産分割協議に参加することができます。

 「包括遺贈」と「相続」の相違点

  • 包括受遺者は遺留分を有しないので、受遺分を侵害するような特定遺贈があった場合でも遺留分減殺請求をすることができません。
  • 包括受遺者は代襲相続権がありません。
  • 共同相続人が相続の放棄をしたり他の包括受遺者が遺贈を放棄した場合、他の相続人の相続分は増えますが包括受遺者の持分は増えません。
  • 包括受遺者は遺贈を受けたことを登記しなければ第三者には対抗できません。 

「相続させる」と「遺贈する」の違い

相続人「以外」に財産を残す場合は「遺贈する」の文言を使います。
相続人に財産を残す場合、特に相続財産のなかに不動産がある場合は「遺贈する」ではなく「相続させる」の文言を用いたほうが有利な点があります。

  • 「相続させる」としたときはその不動産については相続人が単独で登記申請できますが「遺贈する」としたときは単独申請ができません。つまり「財産をもらった人(受遺者)」と「遺言執行者または他の相続人全員(登記義務者)」との共同申請をする必要があるのです。これについての対策としては、遺贈の場合には遺言執行者の指定をしておくことで登記手続きがスムーズになります。 
  • 不動産が農地であるとき「相続させる」とした場合は農地法の知事の許可は不要です。「遺贈する」とした場合は包括遺贈(遺言者の財産の全部または割合で示したその一部を遺贈の対象とすること)の場合を除き知事の許可が必要になります。
  • 相続財産が借地権、借家権である場合「相続させる」としたときは賃貸人(大家さん)の承諾は不要になります。「遺贈する」とした場合は、賃貸人の承諾が必要になります。賃貸人の承諾が得られない場合には裁判所に対し賃貸人の承諾に代わる許可を求めることになります。
  • 「相続させる」遺言及び相続人に対して「遺贈する」遺言を原因とする所有権移転登記を申請する場合、不動産の固定資産評価額×0.4%の登録免許税が必要です。(不動産取得税はかかりません)
  • 相続人以外に「遺贈する」遺言の登録免許税は不動産の固定資産評価額×2%になります。(不動産取得税がかかります)
  • 判例では「相続させる遺言」は遺産分割方法の指定であり、遺産分割方法の指定は処分行為としての性質を含んでいるとしています。つまり、遺産分割を経ることなく、直ちにその相続人に相続により所有権が帰属することを認めているのです。
    「遺贈」の場合
     財産を欲しくないときはその遺贈を放棄することができます。
    「相続させる遺言:遺産分割方法の指定」の場合
     財産が欲しくないときは相続そのものを放棄しない限り放棄できません。 

 特殊な例
孫あるいは甥または姪に財産を遺贈する旨遺言した場合に、これら受遺者が遺言者の相続開始時に推定相続人の資格を取得する場合があります。

この場合、不動産については遺言執行者あるいは他の相続人と共同で所有権移転登記をしなければならない等の不利益を及ぼしかねません。

そこで「予備的遺言」において、当該受遺者が遺言者の相続開始時に遺言者の相続人になる場合は「相続させる」趣旨であることを明らかにしておくほうがいい場合もあります。

後継ぎ遺贈

ある財産を遺贈する場合、相手は1人であることが普通ですが、同じ財産を、例えば、A・Bの順番に遺贈したいと考えることもあります。このような遺贈を「後継ぎ遺贈」といいます。後継ぎ遺贈には以下の2つのケースがあります。

  • Aに対する遺贈はAが亡くなったらA(の相続人)が財産をBに移転しなければならないという義務を負わされた負担付の遺贈で、BはAの義務の履行によって遺贈を受ける場合。
  • Aに対する遺贈はその死亡を終期とする期限付きの遺贈で、BはAの死亡によりA(の相続人)の行為を介さず当然に遺贈を受ける場合。

後継ぎ遺贈」他の相続人の遺留分を侵害している場合は、Aのみがその侵害補償の相手方になるとされています。

 遺贈と相続税
相続税とは、被相続人の有する財産(遺産)を取得した人に対して課税される税金です。

  • その取得原因が「相続」だけでなく、相続人ではない人が遺言による「遺贈」で財産を取得した場合も、その財産について相続税が課税されます。

相続又は遺贈によって財産を取得した人が被相続人の1親等の血族や配偶者以外である場合には、原則としてその人が取得した財産に対応して算出された相続税額に2割が加算されます。

  • 相続税の計算過程の際に控除できる相続税の基礎控除額は5,000万円(3000万円に改正予定)と法定相続人1人りあたりの控除額1,000万円(600万円に改正予定)との合計額です。
    しかし、遺贈を受けた方が法定相続人でない場合は1人当り1,000万円の控除の計算人数には含められません。基礎控除額は相続放棄などがなかったものとした場合の「法定相続人」の数で計算されます。
因贈与

通常の贈与は、贈与者も受贈者も生きているときに行われるのですが、贈与者が死亡したことのよって贈与が成立する場合を「死因贈与」といいます。つまり死因贈与は、受遺者を自由に決められる「遺贈」ときわめて類似した財産の移転方法と言うことができます。

  • 遺贈が「単独行為」であるのに対し「死因贈与」は「契約」にあたり、贈与について相手方の合意がなければ成立しません。つまり、この契約の取消しには贈る人と相手方(もらう人)の双方の承諾がないとできません。死因贈与契約の後から作成された遺言書に優先するケースもあります。

「遺贈」は贈与を受ける者の意思に関係なく一方的に贈与者が遺言書においてその意思を示せばよいのですが「死因贈与」は贈与者と受贈者との間で合意が必要になります。そのため「遺贈」には「相続」と同様に放棄や承認といった手続きが認められています。また贈与の意思表示の形式の違いがあります。

  • 「遺贈」は遺言によってなされるため遺言の作成が必須です。その形式も民法の方式に沿っている必要があります。
  • 「死因贈与」は必ずしも書面による必要はないという判例が出ています。ただし、書面によらない贈与はいつでもこれを取り消すことができるという民法の定めがありますので注意が必要です。また原則として書面の形式も自由となっていますが、争いを避けるためには公正証書による契約書を作成することが一般的です。

「遺贈」の場合は相手に一方的に遺すことができるので、財産を遺すことを知られたくないときは遺言書を作成し、逆に前もって財産を遺すことを相手に知らせておきたいときは「死因贈与」によるなどの使い分けがされることもあります。
このような違いはありますが、効力が発生したときは「遺贈」「死因贈与」ともに
贈与税ではなく相続税が適用されることになります。

備的遺言

予備的遺言というのは、万が一のときを考え、遺言者より先に相続人や受遺者が死亡した場合に備えて、予備的にその代襲相続人や次の順位の推定相続人などの候補者に財産を取得させる旨を遺言するものです。

民法994条第1項により「遺贈は、遺言者の死亡以前に受遺者が死亡したときはその効力を生じない」とされています。つまり、遺言者より先に受贈者(財産を受け取る人)が死亡した場合、遺言の該当する部分については無効になってしまいます。

また下記判例の通り、推定相続人に「相続させる」遺言の場合も、相続人(遺言作成当時の推定相続人)が遺言者よりも先に死亡した場合は、特段の事情がない限り無効になります。遺言によって特定の人に相続させるとしていた財産は、その相続人等の死亡によってその遺言が無駄になってしまうのです。

__sozai__/0011814.gif判例(平成23年2月22日)
遺産を特定の推定相続人に単独で相続させる旨の遺産分割方法を指定する「相続させる」旨の遺言は、当該遺言により遺産を相続させるものとされた推定相続人が遺言者の死亡以前に死亡した場合には当該「相続させる」旨の遺言に係わる条項と遺言書の他との記載の関係、遺言書作成当時の事情及び遺言者の置かれていた状況などから、遺言者が、上記の場合には、当該推定相続人の代襲者その他の者に遺産を相続させる旨の意思を有していたとみるべき特段の事情がない限りその効力を生ずることはない。

このような事態への対策としては、無効となった部分の書き換えをすることがありますが、その時点で遺言者自身が高齢になり認知症などの理由から遺言能力がなくなっている恐れもあります。その場合は遺言の書き換えが事実上不可能になります。また、公正証書遺言の場合は遺言者に新たな費用負担が生じてしまいます。

  • 以上のことから、財産を残したい相続人又は受遺者が同年代(配偶者等)や高齢である場合にこの「予備的遺言」は非常に有用であると思われます。
遺言執行者

「遺言執行者」とは・・
遺言執行者とは、遺言の内容を実現するために相続財産を管理したり名義変更などの各種手続を行って遺産分割を実現するなど遺言を執行する権利を持つ人のことです。

  • 遺言で「遺言執行者」と指定された人、あるいは家庭裁判所で選任された「遺言執行者」は相続の発生を知ったときその就職(遺言執行者になること)を承諾したならば、直ちに推定相続人全員に「遺言執行者就職」の通知を出し遺言執行の職務につくことになります。
  • 遺言執行者は1名だけでなく複数指定することも可能です。

遺言執行者を指定したほうが良い理由!

  • 遺言執行者を選任・指定せず相続人が自分たちで遺言執行を行う場合、遺言の内容によっては、相続人の間で利益が相反するケースもあります。その結果相続人全員の協力が得られず手続きができなくなってしまうことが多くあります。
  •  遺言執行者には未成年者および破産者はなることができません。また遺言執行者には相続人のひとりがなっても構いませんが、その場合は他の相続人等から遺言執行者が相続財産を独占する意図があるように思われてトラブルになる危険性があります。
  • 不動産を特定の人に「遺贈」するための登記には、通常は「相続人全員の印鑑」および「印鑑証明書」が必要になります。しかし、その遺贈に不服のある場合には、法定相続人が同意する可能性は低くなります。そのような場合に遺言執行者が指定されていれば、「遺言執行者」「受遺者(不動産の登記を受ける人)」との間で移転登記が可能になります。このように遺贈」を受けた者にとっては「遺言執行者の指定」が大変重要になります。遺言執行者は相続財産ごとに指定することもできますし、遺言執行者の人数に制限はなく1人でも数人でもよいとされています。
  • 遺言執行者の指定がない場合は共同相続人全員が協力して遺言の執行を行うことになりますが、遺言執行者の選任を家庭裁判所に申し立てることもできます。

 家庭裁判所への遺言執行者選任申立て
遺言に「相続人の廃除及び廃除の取消し」「子の認知」についての記載があった場合は遺言執行者が必要になります。
遺言の内容により公正な遺言執行が期待できないことが予想される場合にも、遺言執行者を選任しておく方が良いと思われます。

  • 申立人:利害関係人(相続人、相続債権者、受遺者等)
  • 管轄:被相続人の最後の住所地
  • 手数料等:執行の対象となる遺言書1通ごとに収入印紙800円と郵便切手
  • 必要書類:申立人の戸籍謄本、被相続人(遺言者)の除籍謄本、遺言執行者候補者の戸籍謄本、住民票、身分証明書、登記ないことの証明書、遺言書の写し

 遺言執行者の職務
遺言執行者の職務としては次のものがあります。

  • 相続人・受遺者へ遺言執行者に就任した旨を通知する。
  • 財産目録を作成し、相続人・受遺者へ交付する。
  • 受遺者に対して遺贈を受けるかの確認をする。
  • 相続人を廃除・廃除の取り消しをする旨の遺言があった場合、家庭裁判所へ廃除・廃除取り消しの申立てをする。
  • 不動産があるときは、法務局へ相続登記申請をする。
  • 遺言に従って受遺者へ財産の引き渡しをする
  • 相続財産の管理をする。 
  • 財団法人の設立・財産の寄付・認知の届出(遺言執行者に就いてから10日以内に遺言書の謄本を添付しておこないます) 
  • その他遺言の執行に必要な一切の行為を行う。

遺言執行者は、以上のように財産の内容を調べて目録を作成したり、不動産や預貯金の名義の変更などの手続き実務を行います。

遺言執行者は相続人の代表として単独で相続手続きができるうえに、相続人が勝手に遺贈財産を処分したとしても、遺言執行者がある場合にはその行為は「絶対的に無効」になります。(民法1013条) 遺言執行者の行為についての判例は以下のものがあります。

  • 遺言執行者がある場合には、相続人が遺贈の目的物についてした処分行為は無効であり、受遺者は登記なくして右処分行為の相手方に対し、遺贈による権利の取得を対抗することができる。
  • 遺言執行者として指定された者が就職を承諾する前であっても、本条(1013条)にいう「遺言執行者がある場合」にあたる。

遺言における遺言執行者に対して与える権限の文面の記載例は以下のようになります。

「遺言執行者は、遺言者名義の不動産の登記手続きおよび不動産の換価処分、預貯金・有価証券・その他の債権・財産等の換価処分等のすべてについて、遺言執行者の名において名義変更、解約などの手続きをし、また貸し金庫を開扉しその内容物の収受等を行い、本遺言の執行に必要な一切の権限を有するものとする」     

遺言執行者の報酬
 遺言執行者への報酬については、遺言者がその遺言に遺言執行者の報酬を決めておく場合と報酬の記載がない場合には家庭裁判所が相続財産の状況その他の事情によって遺言執行者の報酬を定めます。 

 



                    

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