被相続人(亡くなった方)が韓国籍の場合の相続

相続については被相続人が日本国籍の場合は日本の法律が適用されます。しかし、被相続人が韓国籍の場合は韓国民法が適用(準拠法)されます。

準拠法の決定方法
国際私法に関する事例については「法の適用に関する通則法」(以下「通則法」)により準拠法を定める必要があります。

「相続は被相続人の本国法による」(通則法第36条)とされていますので、通常、本国が分かれば適用される法律も決まるということになります。

被相続人が韓国籍の場合、本国である韓国がいわゆる「分断国家」であるためもう1段階の判定が必要となります。韓国も朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)も公式には朝鮮半島全体についての領有権を主張しており、それぞれの地域の住民を自国民としているからです。これは本籍のみを有する場合も同様です。通則法第38条1項では「当事者(被相続人)が2以上の国籍を有する場合」には次のように決められています。

  • その国籍を有する国のうちに当事者が常居所を有する国があるときは、その国の法を当事者の本国法とする。
  • その国籍を有する国のうちに当事者が常居所を有する国がないときは、当事者に最も密接な関係がある国の法を当事者の本国法とする。

つまり、本籍地や親戚の居住地などを根拠として最も密接な関係のある国を選択することになります。

アメリカ合衆国のように、州により法律が異なる国の場合は「その国の規則に従い指定される法(そのような規則がない場合にあっては当事者に最も密接な関係がある地域の法)を当事者の本国法とする(通則法38条3項)」とされています。例えば日本に居住するアメリカ国籍の方が被相続人の場合、日本の法律が適用されることになります。

韓国民法による法定相続分

韓国の法定相続人の範囲は次の通りになります。  比較! (括弧内は日本の法定相続人の範囲

  • 第1順位:被相続人の直系卑属+配偶者     (子+配偶者)
  • 第2順位:被相続人の直系尊属+配偶者     (直系尊属+配偶者)
  • 第3順位:被相続人の兄弟姉妹         (兄弟姉妹+配偶者)
  • 第4順位:被相続人の四親等以内の傍系血族         (なし)

「被相続人の配偶者」について

  • 第1順位(直系卑属)又は第2順位(直系尊属)の相続人がいるときには、その相続人と同順位で共同相続人となります。
  • 第1順位、第2順位の相続人がないときは単独で相続人となります。

 

韓国民法と日本民法との主な相違点!

  • 配偶者と兄弟姉妹・4親等以内の傍系血族(叔父・叔母・従兄妹)が共同相続人となることはありません。つまり、配偶者がいる場合には兄弟姉妹には相続権はありません。
  • 子が相続人の場合
    ・子が被相続人より先に死亡している場合(代襲相続が発生しているとき)は、その子の配偶者も代襲相続人になります。日本の場合は孫のみに代襲相続されます。
    ・すべての子が相続放棄したときには、その相続順位は「孫」に移ります。日本の場合は被相続人の「親」に相続順位が移ります。
  • 子及び子の配偶者のすべてが死亡している場合
    孫は代襲相続人の立場ではなく、第一順位直系卑属である相続人になりますので相続分の計算に注意が必要です。
  • 代襲相続が発生する(被代襲相続人となる場合)は「直系卑属」「兄弟姉妹」のみになります。
  • 配偶者の相続分は直系卑属(又は直系尊属)の相続分の5割加算となります。 
法定相続分の計算例

韓国籍の被相続人Aさん(20xx年x月死亡)の相続人は「妻B」「長女C」「長男D」の3人です。相続財産は日本にある自宅不動産と日本の金融機関の預貯金です。Aさんが遺言を残さずに亡くなった場合、相続分はどのようになるのでしょう?

配偶者の相続分は直系卑属(または直系尊属)の相続分の5割加算となります。
実際の計算は以下のようになります。

  • 」を子の持分割合、「」を子の人数として計算します。
  • 配偶者の持分は子の1.5倍です・・(1.5 x Y)をAとします。
  • 2人の子の持分の合計・・(Z x Y)をBとします。
  • A+B=1 つまり Y=1÷(1.5+2) Y=2/7 となります。
よって、2人の子の持分割合は各々2/7になり、配偶者の持分割合は3/7になります。例えば子が3人の場合には、配偶者が3/9(1/3)、3人の子が各々2/9となります。 


韓国では2008年1月1日より戸主制度が廃止されたことに伴い、戸籍制度を廃止し、家族関係登録制度に移行しました。これは1人1籍の身分登録制度で、簡単に言うと従来の戸籍を個人別に区分・編成したものです。

上記の例では、被相続人の出生から死亡までの従来の戸籍(除籍謄本)と新制度の証明書の両方とすべての相続人の証明書が必要となります。

これらの韓国の戸籍や証明書を取得することは近年かなり複雑で難しくなっています日本からの代理人による取得が困難な場合は、本人または相続人が領事館等を通じて取得しなければなりません。

  • 法定相続または遺産分割協議による場合は、被相続人については出生にさかのぼる戸籍が必要となります。しかし遺言を作成してあれば、原則として被相続人が死亡した事実を証する証明書(又は戸籍)と相続人であることの証明書で手続を進めることが可能です。
    但し、
    金融機関によっては遺言があっても被相続人の出生にさかのぼる戸籍を要求される場合がありますので注意が必要です。この場合の対策としては、そのような金融機関から別の金融機関に預貯金を移しておくという手段もあります。

 

韓国の国際私法の第7章相続では次のことを定めています。

第49条 
1.相続は死亡当時の被相続人の本国法による
2.被相続人が遺言に適用される方式により、明示的に次の各号の法律のいずれかを指定するときは、相続は第1項の規定にかかわらず、その法による。 

  1. 指定当時の被相続人の常居所がある国家の法。ただし、その指定は被相続人が死亡時までその国家に常居所を維持した場合に限りその効力がある。
  2. 不動産に関する相続に対してはその不動産の所在地法   

つまり、韓国の方も日本の方式(法律)で遺言することができるのですが、遺言を作成した被相続人が死亡時まで日本に常居所を維持した場合に限られます。

 韓国の相続法の改正にも注意する必要があります。
被相続人の亡くなった日によって、以下の4つが適用されることとなります。
1991年1月1日以降〜現在まで:現行民法
・1979年1月1日以降〜1990年12月31日まで:旧民法
・1960年1月1日以降〜1978年12月31日まで:旧々民法
・1912年4月1日以降〜1959年12月31日まで:韓国の従来からの慣習 

 

遺言がない場合の法定相続分には、日本と韓国では違いがあります。韓国籍の方が帰化して日本国籍を取得すれば日本の法律により相続手続きがおこなわれますので、相続人の範囲が変わり相続人によっては相続分が増えることもあります。詳しくは弊事務所までお問い合わせください!

 


                    

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